書籍紹介:教養としての社会保障(香取照幸)

今後の主要課題「日本の社会保障制度」市民一人ひとりの自立と自己実現を支えるための制度。まずは、全体像をつかみ正しく理解しよう。

お勧めは「教養としての社会保障

 

【私の思い】※本書より抜粋/加工
 後世、あれが社会の大転換期だったと振り返ることになるような転換期に私たちの社会はある。 大きく構えるなら、「新しい社会経済発展モデルの創造」が求められる。


 製造業から知識産業への産業の構造転換を支えるために、北欧諸国は教育、労働、社会保障政策を転換しました労働市場を弾力化する一方、雇用保障を手厚くし、失業しても社会保障給付を受けている人に職業訓練を義務付ける制度を採り入れ、職業能力開発などの人的投資を惜しみませんでした。積極的労働市場政策、ゴールデントライアングルともトランポリン型セーフティネットとも呼ばれる政策への転換です。
 
 低成長時代に求められる社会保障の機能は、格差の拡張に歯止めをかけ、貧困や社会の分裂を防ぐことで民生の安定を図ると同時に、経済成長に貢献することです。

 所得の再分配が現役世代に薄く高齢者に厚い、日本の現行制度は、経済が低迷が示しているように、適切に機能しているとは言えません。
 北欧の成功が示唆しているのは、民生の安定と経済成長の両立を実現していくためには、できるだけ多くの人が働いて社会に参加し、それぞれの能力を発揮できるようにすることが重要で、そのためには、社会保障を現役世代に重点を置いた給付システムに転換することが求められる、と言うことです。