書籍紹介です。今を知るために読んでいます。
「それでもなぜ、トランプは支持されるのか」「トランプは病因ではない、病状なのだ。」が「序論」で腑に落ちる形でまとまっています。日本のマスメディア もこの位の解説つきでニュース流してくれると助かります。
【私の思い】※本書より抜粋/加工
「絶望している国」が選んだ大統領。
「絶望している国」の姿
・ジェフ・べジス、ビル・ゲイツ、ウォーレン・バフェットという三人の富豪の資産を合計すると、アメリカ国民の下位50%の資産合計額に並ぶといっらこれがまともな国の姿では無い。
・すざまじい格差の底辺で、資産のみならず学歴も世襲されて固定化した階層社会が出来上がった。そこを這い上がることの出来ない低学歴の白人労働者階級の間では、死亡率が上がっている。自殺、薬物中毒、過剰な飲酒に起因する肝疾患を原因とする彼らの死は「絶望死」と名付けられるようになった。
「どのようにしてアメリカは変質したか」
・二大政党の「共犯」何十年にも渡った身勝手で英知もない指導者らの、身勝手で英知もない決定の帰結と考える事ができる。
・具体的には、1930年代~70年代のニューディール期から1980年代~2010年代のネオリベラル期を経て、今日、民主党が高学歴で金持ちのエリートたちが支持する政党で、共和党が労働者や農村部に暮らす人々が支持する政党になっている。
※以前の経営者:共和党、労働者:民主党との把握だと何がなにやらになる。
1970年代以降二大政党が二人三脚で推し進めて格差を拡大させたネオリベラル経済政策と無益な戦争に中間層がノーを突き付けた現象だと解釈するのが順当だ。
つまり、多くのトランプ支持地域の人々が、躍動するアメリカ経済から疎外され、ないがしろにされている。
その最たる事例が、誰もが認める転換点である「リーマンショック」から「世界金融恐慌」の時のオバマ政権の対応である。
・大手保険会社AIGに1730億ドル(26兆円)もの救済資金を投入しながら、同役員らがそこから1億6500万ドル(250億円)のボーナスをせしめたことが露見し、大きなスキャンダルとなってもおとがめ無し。
製造業の大手自動車ゼネラルモーターズ(GM)に対しては政府救済資金の投入に当たって最高経営責任者の辞任を条件としたのに対し、シティグループやバンク・オブ・アメリカなどの金融業界への救済資金は、そうした条件もなしに投入された。
明らかに顧客を欺したようなケースがあっても、司法省はまったく手を付けていない。(最終的に民事で決着が図られた)
「分断するアメリカ」
人種的に多様で、専門職やIT関連の仕事を持つ高学歴者が多いのが民主党支持地域、低学歴の白人が多く、古くから製造業などに依存しているのが共和党支持地域という色分けになる。
アメリカのグローバル企業の中核はIT・金融系だが、そこには世界中の高度な人材が集まるから多文化主義や多様な性的指向への寛容は自然であり必要だろう。しかし、取り残された地域の人々には古くからの価値観を捨てる理由が分からない。前者が後者を見下せば激しい摩擦が起きよう。「文化戦争」も経済格差、階級問題として考えてみる必要がある。
上記のようなアメリカの実態を把握する必要が有ります。ほんの一部の情報ですので、「書き下ろし」の部分だけでも読んで下さい。但し、アメリカをこのような姿に追い込んだものは、全てをアメリカに依存した先進諸国の責任も問わねばならないと思います。